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Ethena(エテナ)とは?年利10%超え「合成ドル」USDeの仕組みとリスクを解説

「USDTやUSDCを持っているけど、ただ持っているだけじゃ勿体ない…」 「DeFiの利回りは魅力的だけど、ハッキングとか複雑な操作が怖い」

そんな悩みを持つ投資家の間で、今爆発的に普及しているのがEthena(エテナ)とそのステーブルコイン「USDe」です。

2024年に登場してからわずか数ヶ月で、時価総額は100億ドル規模に急成長。世界第3位のステーブルコインの座に上り詰めました。 なぜこれほど注目されているのでしょうか?それは、「持っているだけで高い利回りが貰える」という、従来のステーブルコインにはなかった特徴があるからです。

今回は、この「魔法のようなドル」の裏側にある仕組みと、決して無視できないリスクについて解説します。

Ethenaの「錬金術」:なぜ利回りが出るのか?#

Ethenaの「錬金術」:なぜ利回りが出るのか?

通常のステーブルコイン(USDTやUSDC)は、銀行にドルを預けて、その証明としてトークンを発行します。だから安全ですが、利子(金利)は運営会社が持っていくため、ユーザーには還元されません。

一方、EthenaのUSDeは「合成ドル(Synthetic Dollar)」と呼ばれます。 銀行にお金を預けるのではなく、「デルタニュートラル戦略」という金融のプロが使う手法を自動化しているのです。

利回りの源泉は2つ#

  1. ETHのステーキング報酬 (約3〜4%) みんなから預かったETHをステーキングして、その報酬を受け取ります。
  2. 先物市場の「ファンディングレート」 (約5〜20%以上) ここがミソです。Ethenaは預かったETHと同じ額だけ、先物市場で「売り(ショート)」注文を出します。 暗号資産市場は「買いたい人(ロング)」の方が多い傾向にあるため、ショートをしていると手数料(ファンディングレート)を貰えることが多いのです。

この2つを組み合わせることで、💡 「価格変動リスクを抑えながら、チャリンチャリンと手数料収入を得る」 仕組みを実現しています。これが「年利10%超え」の正体です。

仕組み:価格変動リスクはどうするの?#

仕組み:価格変動リスクはどうするの?

「ETHを預けて大丈夫?暴落したら価値がなくなるんじゃ…」

ご安心ください。ここで「デルタニュートラル」が効いてきます。

  • 現物で1万円分のETHを持っている(プラス1万円)
  • 先物で1万円分のETHを空売りしている(マイナス1万円)

もしETH価格が半分になっても、現物の損は空売りの利益で相殺されます。逆に価格が倍になっても、現物の利益は空売りの損で消えます。 つまり、プラスマイナスゼロ(ニュートラル) の状態を常に保つことで、ドルの価値(1USDe = 1ドル)を維持しているのです。

この賢い仕組みは「インターネット債券」とも呼ばれ、アーサー・ヘイズ氏(BitMEX創業者)のアイデアが元になっています。

参加方法は?#

参加方法は?

最も簡単なのは、Bybitなどの海外取引所でUSDeを購入して保有することです。また、Ethenaの公式サイトでステーキング(sUSDeにする)すれば、利回りを最大限に受け取ることができます。

最近では「Liquid Restaking」など他のDeFiでも担保として使える場所が増えており、利便性は急速に高まっています。

投資家が絶対に知っておくべきリスク#

投資家が絶対に知っておくべきリスク

「完璧な仕組みに見えるけど、落とし穴はないの?」 もちろんあります。過去の調査レポートでは、以下の3つのリスクが指摘されています。

1. ファンディングレートが「マイナス」になるリスク#

市場が暴落して「みんなが売りたい」状態になると、ショートをしている側が手数料を支払わなければならなくなります。これが長く続くと、USDeの資産が目減りし、最悪の場合1ドル=1ドルを維持できなくなる(デペグする)可能性があります。

2. 取引所の破綻リスク(カウンターパーティリスク)#

EthenaはBinanceやBybitなどの取引所を使って裏側の運用を行っています。もしこれらの取引所がハッキングされたり破綻したり(FTX事件のように)すれば、預けている資産が失われる恐れがあります。

3. まだ新しいプロジェクトであること#

USDeは急成長していますが、まだ歴史の浅いプロジェクトです。予期せぬバグや規制の問題(最近ニュースにもなりました)が発生する可能性はゼロではありません。

まとめ:USDeは「リスクのある高利回りドル」#

まとめ:USDeは「リスクのある高利回りドル」

Ethenaは、ただ銀行に眠っているドルを「稼ぐドル」に変えた革命児です。

  • メリット: ステーブルコインなのに高い利回りが狙える。
  • 仕組み: 「現物買い + 先物売り」で価格変動を打ち消しつつ手数料を稼ぐ。
  • リスク: 市場環境の変化や取引所のリスクには注意が必要。

「全財産をUSDeにする」のはおすすめしませんが、ポートフォリオの一部として 「攻めの現金」 を持つには非常に面白い選択肢と言えるでしょう。 リスクを理解した上で、賢く活用してみてください。